タオルのまめ知識

サイジング糊

  • 2014/12/20

「百貨店のタオルは芸術的で可愛いけど、全く水を吸わないね」。
一昔前(稀に今でも)、こんな感想を聞いた事が有ります。

「全く水を吸わない」は大袈裟にしても、吸水性の劣るタオルが広く出回っていた事は想像に難くあり ません。
水を吸わないタオルの正体の一つは、糸にべったりと付いた糊。
この糊が、サイジング糊。
「何でわざわざ…」、といつ声が聞こえてきそうですが、
その理由はタオルを織る時に糸が切れないようにする為。

製織工程では、何百本という糸が同時に引っ張られたり、緩まされたりしているわけですから、
「俺は引っ張られないぞ」と頑張ってみても、そこは多勢に無勢、ひねくれ者の糸は無惨に切れてしま います。

「糸」個人としては覚悟の結末なのですが、均一性を尊ぶ「タオル全体」としては困ります。
その為、糸にサイジング(糊付け)して、糸同士や機械との摩擦を減らし、
又は、糸そのものをまとまり易くして切れ難くするのです。

昔の百貨店に並んでいた、色糸を複雑に織り込んで柄を出していたタオルは、パイルが糊付けされて一 定方向に揃っており、言わば゛「よそ行きの正装状態」。
贈答品の商品展示としては綺麗に見えて、当時それなりに好都合だったのかも知れません。

しかし時は流れて、今は「自分にご褒美」の時代。
ショウケースでの見栄えよりも、肌ざわりとか吸水性とかの機能、イメージが問われます。
サイジング糊が残っていない事が大前提。

ここでも、先晒と後晒の話が絡みます。
糸を晒して(及び染色して)から織り上げる先晒では、織り上げ前に糸に付けたサイジング糊を、織り上 げ後に取り除く「糊抜き」工程を加えます。
生成りの糸にサイジングして、織り上げた後に晒す(及び染色する)後晒では、晒し工程でサイジング糊 も取れてしまうので、糊抜き工程はそもそも不要となります。

前述の百貨店に並んでいたのは、先晒タオル。
後晒タオルでは、糊付けされた正装状態は初めから無理。
機能性が注目される時代になって、やっと百貨店の棚でも良い場所に置いてもらえるチャンスが出て来 ました。

もちろん、後晒の特性に加えて、プラスαと言える何かが必要でしょうが。