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巨大IT企業と消費者利益(日本経済新聞3月24日)

  • 2021/03/24

富士産業有限会社、下代勝レポート。

 

日本経済新聞(3月24日付)の2面、3面に、関連していると思われる記事がならんでいましたので、御紹介。

 

先ず2面。〈真相深層〉

「独禁当局委員に反アマゾンの学者」「米、巨大ITと対決姿勢」「競争政策に転機も」の見出し。

 

バイデン米政権は、企業を反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴するかを決める米連邦取引委員会(FTC)の委員に、米アマゾン・ドット・コムへの批判で知られる新進気鋭の法学者、リナ・カーン氏(32才)を指名したとの事。

FTC委員長の席はまだ空席なので、今後の学派の力関係はまだ流動的ではあるものの、大変注目される人事として報じられています。

 

反トラスト法の「独占」に対する考え方は主に二つの学派に分類されるらしい。

◇「シカゴ学派」;1970年代、米企業の国際競争における苦戦を背景に、「消費者利益の保護」を強調して、自由競争の結果としての「独占」に寛容な立場。現在の主流派。

◇「新ブランダイス学派」;資本家による産業支配の確立・勝者総取りを防ぐ為、「労働者保護」や「中小企業保護」などの社会政策を重視し、市場構造の保護に力を入れるべく、「独占」の弊害を厳格に取り締まろうとする立場。リナ・カーン氏はこちら。

 

シカゴ学派の錦の御旗が「消費者利益の保護」で、新ブランダイス学派の錦の御旗が「労働者保護」や「中小企業保護」のよう。

 

こういう場合、今回のリナ・カーン氏の立場からすれば、「独占」を厳格に取り締まる事が、結果的には「消費者利益」の保護にも繋がると主張するのが、相手のお株を奪う戦略としては良さそう。

 

そう思って3面を見ると、「会話データ国内移管へ」「利用者へ配慮なかった」の見出し。

大手IT企業がサービスのグローバル展開を進める中で、「プライバシー保護」という「消費者利益」の保護の観点から、データ企業に対する当局の厳しい目線が報じられていました。

 

巨大IT企業は、株価を含め、世界経済を強力に牽引しているのは確かなところ。

コロナ禍で、実態経済の数値が色々と明らかになる中、人事で垣間見れるこの流れがどういう影響を及ぼすか、注視して行きたいものです。